コレクターズ・アイテム基礎知識 〜セル画って何?〜

(2012/03/11 更新)

こちらのPでは,セル画に興味がある初心者向けに,
セル画に関する豆知識を少し書き連ねてみようと
思います。当サイトを訪問されていらっしゃる方の
大半にとりましては,既にご存じのことばかりとは
思いますが,インターネットの性格上,どういった方が
訪れるかわかりませんし・・・,
まあ一応,さらっと読み流していただければ幸いです。
尚,このP作成にあたり,様々なサイト,文献を参考に
したりしておりますが,些細なことはお目こぼし
いただくとしても…,
もしも重大な誤りがあるようでしたら
メールなど下さいませ。(^_^;)


最近,物置の段ボール箱から出てきた…
大学時代,自主制作アニメ用に描いたセル画。
ハンドトレスは褪色せず…。(^_^;)

繊細で脆弱なコレクターズ・アイテム−セル画−

セル画って何?ということですが・・・,その前に,前置きを少し。
思い起こせば,セル画の収集は,大学時代より始めました。当時は,塗料(アニメックスと呼んでました),
タップ,生セル,動画用紙等の諸々の道具を揃えて,自身でも様々なキャラクターのセル画を描いてました。
コレクター歴もけっこう長く,結果,恥ずかしながら,我が家のコレクション・ルームや物置には,いわゆる
マニアック・アイテムが満ち溢れています。


タップ-セル,動画用紙の固定,位置合わせに使用-

まず始めに,セル画に馴染みのない方の為に,そもそもアニメーションに使用されるセル画(セル)って
何なのか…ということ,次いで,セル画を使ってアニメ・フィルムが出来るまでをご説明致します。

セル画とは,アニメ作品のフィルム撮影用に使用される透明なセル(セルロイド)に描かれた絵のことです。
素材としては1950年以降,収縮や変色のしにくいアチル・セルロース(アセテート・フィルム)が
用いられています。
デジタル(CG)ペイントが台頭し,セルの使用量が減少してきたため,国内生産は中止されました。
現在は,セルはすべて海外より輸入されています。

この透明なセル(生セル)に,アニメーターが描いた動画(下絵)の輪郭線を機械or手書きでトレスし,
次に,セル表面にキャラの影やハイライト(光)の境界線を色トレスし,最後に仕上げ担当者が裏面から
専用の塗料を彩色してセル画は完成します。


アニメーターが、動画用紙に描いた動画です。
        ↓

動画の輪郭線を、透明なセルに転写し、そのセルに仕上げ担当者が、専用の塗料で裏から彩色します。
…で、仕上がったセル画です。


仕上がったセル画を、背景(水彩画)に重ねて、タイムシートの指示通りに、撮影(コマ撮り)します。

次に,背景(水彩画)の上に置かれて撮影機材でコマ撮りされ,これがアニメ・フィルムの1コマとなります。
通常1枚のセル画で同じフィルムが2〜3コマ撮影され,最終的には,1秒間に24コマのフィルムが
映写されます。 従って,1秒間で8〜12枚,単純計算で30分では,14,400〜21,600枚ものセル画が
必要となります。 まあ,実際は,バンク・カット,静止カットもありますし,カメラワークで見せるカットも多く,
そんなにフルに画面上でキャラクターが動いているわけではありませんので,放映中の30分枠の
TVアニメ番組(正味22分程度)に使用されるのは3000〜4000枚程度でしょうか (中には1万枚近く
使用する作品もある様ですが…)。宮崎駿監督クラスのハイ・レベルの劇場版アニメ作品ともなりますと,
10万枚近くもの動画(セル画の元となる下絵)を使用することもあります。ちなみに,「となりのトトロ」は
約5万枚。

さて,そうした気の遠くなるような労力・手間を費やして製作されたアニメ作品に使用されたセル画を
集めるようになって,早20年が過ぎようとしています。昔は,収集する為,東京の専門店に行ったり,
アニメ・スタジオに通販を無理矢理お願いしたり…と,かなりの手間と労力を要したものです。
しかし,現在では,福岡市内のセル画ショップ(ま●だらけ)や,ネット上のオークション・通販ショップで
入手することができるようになりました。

セル画の実際の取引価格ですが,安いものはそれこそ1枚50円くらいで買えるものもあれば,
宮崎アニメや,コアな(熱狂的な)ファンの多い人気作品のセル画に至っては,1枚が●十万円するものも
珍しくありません。こうして書きますと,一般常識からかけ離れたような高額に,驚かれている方も
いらしゃるかもしれません。が,それくらいはマニア物コレクターの感覚で言えば序の口でして…,
比較的初期のディズニー・アニメの稀有なセル画に至っては,数百万円といった単位で,売買されています。
海外では,希少価値の高いセル画は,一級の美術品としての価値(評価)が既に確立されているのです。

比較的高額でセル画コレクターの間で取引されている国内作品のタイトルを少しあげてみましょう。
まず,宮崎駿監督作品では「ルパン三世/カリオストロの城」「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」
「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「もののけ姫」…。コアなマニアが多い作品としては,庵野監督の
「新世紀エヴァンゲリオン」「ナディア」「トップをねらえ!」,松本アニメ「銀河鉄道999(劇場版)」
「宇宙戦艦ヤマト」,「機動戦士ガンダム」「超時空要塞マクロス」「めぞん一刻」「セーラームーン」
「るろうに剣心」「ああっ女神さまっ」「ナデシコ」「聖闘士星矢」…と,まあ切りがないのでこれくらいで
止めます。
もちろん,該当作品のセル画がどれでも高価なのではなく,描かれているキャラクターの作画(絵柄),
レイアウト(構図),どういったシーンで,作画監督は誰か,手塗りの背景付きか,保存状態は…
といった様々な要因によって価格は大きく変動します。
ただし,かの超ヒット作「千と千尋の神隠し」は全編デジタル仕上げの作品で,セル画自体存在しません。
デジタル化の波で,現在は,セル画を使用するアニメ作品は消滅しており,セル画もいずれは
骨董品と同様に扱われるアイテムとなりそうです。

大枚はたいて苦労して入手したセル画も,その後の保存方法を誤ると,価値は激減します。
万一,トレス線(輪郭線)が消失したりすると,ほとんど無価値となることも…(くわばらくわばら)。
セル画の保存で最大の問題となるのは,セル画に描かれているキャラクターの輪郭線が,耐久性に
優れた手書きのトレス線(ハンドトレス)ならば別ですが,通常は,トレスマシンというコピー機に似た
機械を用い,動画をもとに転写されたカーボン線であるために,時間とともに褪色,(場合によっては)
消失するということです。紫外線,直射日光に長時間さらすことは御法度です。
故に,貴重で高価なセル画であればある程,安易に部屋に飾ったりはできません。
仕方ないので…,小生などは,部屋の壁には,原動画や印刷・複製セルを飾っています。

セル画同士や背景は,密着させたままでは張り付いてとれなくなってしまいますので,別々に
ビニール袋やクリスタルパック等の保存袋に入れ,空気を充分袋より抜いた上,ファイルに収納し,
冷暗所に保存するのが一般的のようです。セル画と背景の間にくっつき防止のビニール・シートを
入れて保存する方法もあります。ただし,いったん張り付いてしまったものを無理にはがすのは,
取り返しの付かないダメージを与えることがありますので,非常に危険です。
この脆弱さ故に,セル画コレクターは保存方法に,とても気を遣います。また,湿気が多い場所に
置いていても,カビがはえたり,セル自体が変質する原因となります。特に梅雨時は要注意です。
ですので,●十万クラスのセル画ともなりますと,温度・湿度が調節された貸倉庫に預ける方も
実際にいます。
かくいう小生も、セル画の大半は、温度・湿度の管理されたレンタルスペースに預けています。(^_^;)

とにもかくにも,セル画の実物を直接ご覧になりたい方は,ぜひとも一度,お近くのマニア物専門店
「まんだらけ」を訪れてみて下さい。様々な作品のセル画がシューケースに展示販売されていまして,
どういった作品のセル画がどのくらいの価格で取引されているのかもお判りになれます。
ヤフーオークションにても、多数のセル画が出品されています。

以上、とりとめのない文章にお付き合いいただきましてどうもありがとうございます。

                                               大場★打太